わたし。みました。

最新作に疎い私が、一昔前の作品を見て、感じたままお伝えします。

「苦い銭」あちー!なげー!やしー!のトライデントアタックを胸に今日も奴らは!!

ビィィィタッッッマンネェェェーーーー!!!

はい。中国の労働者のドキュメントです。制作はフランスの方達です。

 

考えさせられる作品ですね。田舎から出て、服の裁縫工場で働く人々を追います。一日の労働時間朝の七時から夜中の十二時。服を作って、食べて、寝ての反復の日々。それでもそこで働くのは何故なのか。生活の為に、そう割り切って働く人々の姿は時間を忘れて見入ってしまいます。

 

一人に焦点をあてるでなく、工場で働く人、各々にクローズアップしていきます。その一人に物語があるのです。

 

ある女性は亭主から暴力を受け、家を出て工場に務めますが、亭主のもとへお金を無心に行くと「明日の太陽を拝めないようにしてやる!」と言われます。それでも構わず、「私を拒む理由を教えて!出なければ成仏出来ない!」と、絶命覚悟の口喧嘩をしてみたり。

 

ある中年男性は、「工場務めじゃ儲からないから、俺は講習を受けに行く。街ではやってるだろう。俺はマルチ商法を始める。騙すのなんか簡単だ」と、仲間に漏らしていますが、仲間は辞めとけの呆れ顔。近しい人間に俺はマルチを始めるぞ!と、自ら周囲の人間に警戒必至の警鐘を鳴らしたり。

 

酒飲みの男性は、「俺は働かない、給料を今夜よこすはずだから、それまで働かん!」と、酒を日がな一日つまらなそうに呑んでみたり。

 

もう、皆、人間です。中国の道幅が広く、街頭も照らしきれていない、夜の闇が無数に点在している街。その中で蠢くように働く人間。

 

MADE IN CHINAは、質が悪いから嫌だ。そんなイメージを正直持っていました。今作の中でもおじさんが半裸の状態でミシンを使い裁縫していたり、ガンガン積み上げてシワができたり、サイズ表記違うものを袋詰してみたりと。日本の工場のライン作業の精密さ繊細さを知る私としては、こんな無茶苦茶でやっとんのか!と、薄々は察していたものの、改めて目にすると驚愕です。

 

ですが、この環境での労働。暑ちー、長げー、安しー。の三つ揃え。素直に頑張って働いているんだなと思えます。勿論、商品の出来については称賛は出来ませんが。

 

これこらは、少しだけMADE IN CHINAに優しい思いを持てるような気がします。ほつれてたり、部品足りなかったり、モノが違ったり、なんか臭かったり。

 

中国で生きる大変さを感じたからこそ、あの人たちは今日も怒りながら不満をたれて半裸で作業かと。日本で育ち培った感覚で、嫌だなと思いつつも、MADE IN CHINAを認めおおらかに受け止めたいと思います。

 

苦い銭」タイトルも秀逸ですね。

ぜひ、機会があれば。宜しくお願いします。