ノマドランド
やっと見れました。とても気になっていた作品です。想像は邪魔になるので、なにも予想せず、前情報も入れずに見ました。有り体に言って。
うむ、、、。これよこれこれ!!
現代のノマド(放浪者)を描いた作品です。主人公ファーンは各地で働きながら愛車兼自宅のヴァンンガード号でノマドライフをおくっています。
劇的な事はありません。が、生きる為に働き、生きる為に移動し、誰かに出会う。それ自体が作品を通してとても尊いものに感じてきます。車移動の際に映るアメリカの大きな山々もそんな気持ちにさせる要因の一つかもしれません。
ファーンはエンパイアという街で夫と暮らしていました。エンパイアという街自体が1つの企業で成り立っていたのですが、リーマンショックにより会社が閉鎖され職を失います。夫も他界してしまいます。
そこから、家を手放し短期労働をしながら車でのノマド生活を始めます。印象的な言葉が、知り合いの子供との会話に。
「ホームレスになったの?」
「ホームレスじゃなく、ハウスレスよ」
と、答える場面がありました。住むための家がないだけであって、住む場所はあるのだ。と、ノマドの気概のようなものを感じました。
ファーンは生活の基盤であるヴァンガード号で寝て、用を足し、飯を作り、食器をしまい、新年を迎え、夜の寂しさを過ごし、一人でいる事の不安さ、人と必要以上に繫がる煩わしさ。行動も感情の逡巡もこのヴァンガード号の中にいながらにして全て自分の物にしています。
後部座席のドアを閉めれば、そこはもう家であり。安心感が体を包み込むのだと思います。
車内で年越しを過ごすとき、一人きりなのに頭にはHAPPYNEWYEARとかたどられたカチューシャをしています。面白みを感じる一方て、やはりヴァンガード号はファーンにとって心地よく過ごせる家なのだということを感じさせられます。
その後もノマド生活車が集まり過ごす、フェスに行って他のノマドと交流したり、車の修理代を立て替えてもらうために姉の家にいったり、旅で出会ったは人の家に招待されたり。と、色々な場所で人と交流を持ちます。
一緒に住まないかと方方で誘われますが、一人でいることを選ぶファーン。その思いを夫の死と関連付けて言葉にし説明しますが、やはり人に分かる事情ではありません。しかしその言葉の奥にある思いはうっすらとした“形”があるように思えます。
で、この映画で当たり前の事に気づいたのですが。出会いがあれば別れもつきもので、寂しいな、で完結するのではなく。バイバイしたあともまた再度会いに行けばいいんです!これは当たり前なんですけど、別れに重要性をもたせたくないなぁと常日頃思っている私としては、良い気付きを得られました!
砂漠で別れた、あの人の家に遊びに行く。
こんなでいいんです!!感傷的になりすぎると一つ一つの事象に重さが増してしまうので。
そして、驚きなのがキャストが本物のノマドらしいのです!全然違和感なく作品に出ているので演技がとても上手いのですね!もしくはカメラなんて関係なくいつもの自分でいるのかもしれませんね。
いつかこんな生活してみたいなという思い。どこからか湧いてくるかもしれません。
とても良い時間を過ごせました。
オススメです。